インドアゴルフの坪数目安|開業前に測る奥行6mと60.5坪の壁
インドアゴルフの坪数は、打席エリアだけなら1打席7.5坪、受付や待合を含む契約坪数なら1打席12.5坪が出発点です。3打席なら約32.5坪、4打席なら約42.5坪になります。
ただし、この数字だけを持って不動産サイトを眺めても物件は決まりません。シミュレーターが入るかどうかは面積ではなく、間口×奥行×天井高で決まるからです。同じ18坪でも、間口3m×奥行20mなら0打席、間口10m×奥行6mなら2〜3打席。坪数が同じでも結論は真逆になります。
本記事では、GOLFZON Japanの公式設置寸法と施工実例の実寸から、坪数を「先に決める条件」ではなく「最後に出てくる結果」として扱う手順をまとめます。押さえる数値は次の4つだけです。
- 奥行6.02m … ブース奥行はほぼ物理定数。5.5m未満の物件は何坪あっても不適
- 間口3.3m刻み … 連打席のティー間隔。打席数は間口の割り算でほぼ決まる
- スラブ間3.35m … 床〜天井ボード3,050mm+センサー用天井懐300mm
- 60.5坪(200㎡) … 用途変更の確認申請が発生する法規の境界線
坪数は入力値ではなく出力値です。「何坪必要か」ではなく「この物件に何打席入るか」から考えると、内見の判断は30分で終わります。
インドアゴルフの坪数目安は何坪ですか?
打席エリアは1打席7.5坪、2打席目以降は6.0坪ずつ増え、受付・待合を含む契約坪数は3打席で約32.5坪が目安です。
この数字は、GOLFZON Japan『GOLFZON 設置推奨寸法』(2025.02.06版)に記載された最低寸法から本記事で算出したものです。よくある「1打席5坪」「40坪で4打席」といった丸めた数字ではなく、メーカーが示す最低寸法をそのまま面積に直しています。
打席数別 必要間口×奥行×坪数 早見表
| 打席数 | 必要間口(TwovisionNX) | 必要間口(GDR・VisionPlus) | 必要奥行 | 打席エリア最小 | 共用部込み総坪数 | 200㎡(60.5坪)の壁 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1打席 | 4.12m | 3.75m | 6.02m | 7.5坪 | 約12.5坪 | 余裕あり |
| 2打席 | 7.42m | 7.05m | 6.02m | 13.5坪 | 約22.5坪 | 余裕あり |
| 3打席 | 10.72m | 10.35m | 6.02m | 19.5坪 | 約32.5坪 | 余裕あり |
| 4打席 | 14.02m | 13.65m | 6.02m | 25.5坪 | 約42.5坪 | 余裕あり |
| 5打席 | 17.32m | 16.95m | 6.02m | 31.5坪 | 約52.5坪 | ぎりぎり内側 |
| 6打席 | 20.62m | 20.25m | 6.02m | 37.5坪 | 約62.5坪 | ★超過(確認申請) |
*必要間口は「1打席目の最低横幅+3.3m×(打席数−1)」、打席エリア坪数は「必要間口×6.02m」、総坪数は「打席エリア÷0.6」で本記事が算出。1坪=3.3058㎡で換算。*
表の最下段が、この記事でいちばん伝えたい分水嶺です。6打席を狙うと総坪62.5坪になり、用途変更の確認申請ゾーンに入ります。5打席で止めるか、確認申請を織り込んで工程を4ヶ月以上取るか。ここが規模設計の分岐点になります。
なぜ「坪数÷打席数」で計算するとずれるのですか?
1打席目だけ幅4.12mが必要で、2打席目以降は3.3mで足りるためです。
GOLFZONの公式寸法では、単独打席の最低横幅は右打席のみで4,120mm(TwovisionNX)、GDR・VisionPlusで3,750mm。一方、連打席にする場合の隣接ティー間隔は3,300mm以上です。つまり1打席目は約7.5坪必要でも、2打席目以降の増分は3.3m×6.0m=19.8㎡=約6.0坪しかありません。
1打席あたりの総坪数は、打席数が増えるほど下がります。
- 1打席:12.5坪/打席
- 2打席:11.3坪/打席
- 3打席:10.8坪/打席
- 4打席:10.6坪/打席
- 6打席:10.4坪/打席
「40坪÷4打席=10坪」という線形計算は、2打席以上では必ず過大見積もりになります。逆にいえば、打席数を増やすほど1打席あたりの投資効率は改善します。
打席エリアと契約坪数の差は約1.6倍あります
打席エリアの実効坪数は約6坪/打席、実運営店舗の総坪数は約10坪/打席で、差の約4割が受付・待合・トイレ・バックヤード・通路です。
メーカー施工実例から逆算した打席エリアの実効坪数は次のとおりです(Xswing GOLF『シミュレーションゴルフ打席サンプル集』の実寸から本記事で算出)。
| 事例 | 実寸(W×D×H mm) | 打席数 | 打席エリア坪数 | 1打席あたり |
|---|---|---|---|---|
| 京都市 インドアゴルフ | 9,635×5,325×2,900 | 3打席 | 15.52坪 | 5.17坪 |
| 福岡市 ゴルフスタジオ | 17,535×7,000×3,150 | 6打席 | 37.13坪 | 6.19坪 |
| 四条畷市 体育館 | 14,700×7,000×3,895 | 4打席 | 31.13坪 | 7.78坪 |
| 大阪市 オフィス | 3,200×6,000×2,800 | 1打席 | 5.81坪 | 5.81坪 |
| 名古屋市 ゴルフカフェ | 2,975×5,200×2,800 | 1打席 | 4.68坪 | 4.68坪 |
*京都市・大阪市・名古屋市の事例は奥行5,200〜6,000mmで成立しており、これはスカイトラック系(Xswing GOLF)の施工実例です。必要奥行は機器によって変わるため、機種を決めてから物件条件を確定させてください。*
レンジは4.7〜7.8坪/打席、中央値で約6坪。ところが実際に運営している店舗、たとえば香川県高松市のGOLF studio K(2022年4月開業)は約90坪で9打席、10坪/打席です。差の約4割が共用部にあたります。
「20坪あれば3打席」といった記述を見たら、それが打席エリアだけの数字か、受付・トイレ込みの契約坪数かを必ず確認してください。前者の数字で物件を探すと、内装設計の段階で待合席が消えます。
ゴルフシミュレーターの設置スペースは奥行6.02mと間口3.3mで決まります
ゴルフシミュレーターの設置スペースは、奥行が実質固定値で、間口が可変値です。GOLFZON公式のブース奥行は6,020mmで、これを下回る物件は坪数に関係なく候補から外れます。
奥行6,020mmは、次の要素で構成されています(GOLFZON Japan『GOLFZON 設置推奨寸法』2025.02.06版)。
- スクリーン裏:400mm
- スクリーンから打席まで:3,000mm
- 打席後方の安全基準距離:2,650mm(右打席のみ。左右打席は2,100mm)
このうち削れる余地があるのは、スクリーンから打席までの距離だけです。連打席にする場合は2,700mm程度まで詰められると公式資料に記載があります。GOLFZON系を前提にするなら、奥行5.5mを切る物件は機種を変えても打席を斜めにしても成立しません。
機種を変えると契約できる物件の母数が変わります
最新機種ほど要求寸法が大きく、選ぶ機種で物件の可否が変わります。
| 項目 | TwovisionNX | GDR・VisionPlus |
|---|---|---|
| ブース奥行 | 6,020mm | 6,000mm |
| 最低横幅(右打席のみ) | 4,120mm | 3,750mm |
| 最低横幅(左右打席) | 4,500mm | 3,800mm |
| 床〜天井ボード | 3,050mm以上(ネット仕様3,200mm) | 3,030mm以上 |
| センサー用天井懐 | +300mm | 別記なし |
| 連打席のティー間隔 | 3,300mm以上 | 3,300mm以上 |
*出典:GOLFZON Japan『GOLFZON 設置推奨寸法』2025.02.06版*
横幅で370mm、天井で20mm以上の差があります。この差は「築古ビルを候補に入れられるかどうか」という母数の差に直結します。
GOLFZONの設置推奨寸法は2025年2月に更新され、TwovisionNXは床〜天井ボード3,050mm+天井懐300mmと、旧Twovision(3,030mm+300mm)より要求が上がりました。導入機種が決まらないうちに物件を押さえると、後から機器が入らない事態が起きます。
同じ18坪でも打席数は0〜3で変わります
坪数が同じでも、形状で結論が反転する具体例です。
| 物件形状 | 面積 | 奥行判定 | 間口判定 | 結論 |
|---|---|---|---|---|
| 間口3.0m×奥行20.0m | 約18.2坪 | ○(6.02m以上) | ×(4.12m未満) | 0打席 |
| 間口10.0m×奥行6.0m | 約18.2坪 | ○ | 10.0m | 2打席(詰めれば3打席) |
後者を保守的に計算すると(4.12+3.3×2=10.72m)3打席は入りません。ただし京都市の実例では間口9,635mmで3打席が成立しています。左の壁から2,650mm離隔し、ティー間隔3,300mmを2つ並べると2,650+3,300×2=9,250mm。壁際を詰める設計なら、公式の保守値より1m以上小さい間口でも打席数を確保できる余地があります。
内見では巻尺で「奥行」「梁下」「間口」の3つを実測してください。図面の壁芯寸法と内法寸法は100〜200mm違います。ぎりぎりの物件ほど、この差で1打席分の可否が変わります。
インドアゴルフの天井高は何mm必要ですか?
天井高は床から天井ボードまで3,050mm、センサー用の天井懐300mmを加えたスラブ間3,350mmが目安です。
GOLFZON公式では、TwovisionNXの天壁クッション仕様で床〜天井ボード最低3,050mm+天井懐300mm。ネット仕様なら3,200mm+300mm=3,500mmが必要です。GDR・VisionPlusは3,030mmと、やや条件が緩くなります。
一方、打席部分の有効高さ(身長180cmの人がドライバーを振れる寸法)は2,800〜3,200mmとされています。「天井ボードまで2,800mmあってスイングはできるが、センサーを吊る300mmが足りない」という落ち方が最も多いパターンです。
天井高から必ず引く4つの寸法
図面の階高からは、少なくとも次の4つを控除して考えます。
- 梁下 … 部屋の最低点は梁下です。中央に梁が走っていると打席レイアウトが先に決まります
- 空調ダクト・スプリンクラー下 … 天井裏を通る設備は、移設費用が別途かかります
- OAフロア・二重床 … 既存の床上げ分だけ有効高さが減ります
- 床上げ200mm … オートティーアップ機を入れる場合、打席側に180〜200mmの床上げが加算されます
階高3,600mmの物件でも、梁下3,200mm・OAフロア100mm・床上げ200mmなら、有効高さは2,900mmまで落ちます。
天井が足りないときの3つの逃げ道
条件を外していても、施工実例では梁をかわす設計で成立しているケースがあります。
- 中央打席だけ梁下をかわす:京都市の実例は天井高2,900mm、中央打席の梁下2,700mmをかわす配置で3打席
- 段差天井と斜め打席:名古屋市のゴルフカフェは梁下2,400mmを段差でかわし、打席を斜めに造作して1打席
- 工事不要のネット仕様:大阪市のオフィス実例は3,200×6,000×2,800mmで1打席。原状回復前提のマスターネットを採用
いずれも打席数か快適性を犠牲にしています。天井高を工事で稼ぐ場合は、天井解体・はつり工事の見積もりを物件契約前に取ってください。
築古ビルは天井高で落ちます
ザイマックス不動産総合研究所の調査(2019年)によると、東京23区のオフィスビルの天井高は竣工年代が新しいほど上昇し、大規模ビルでは2000年以降に竣工したものが2,800mm以上をほとんど占めています。裏を返せば、それ以前の築古ビルや中小規模ビルは2,800mm未満が多数派ということです。
賃料が安い築古ビルほど天井高で落ちる。これがインドアゴルフの物件探しが難航する構造的な理由です。
天井高は「後から何とかなる」項目ではありません。奥行と天井高で足切りしてから間口で打席数を決める、という順番を崩さないでください。
インドアゴルフ開業の物件の選び方は?内見30分で判断するフローチャート
物件の可否は、坪数を見る前に「奥行→天井高→間口→床面積200㎡」の4項目を実測する順番で判定します。
「何坪必要か」から入ると、条件を満たさない物件を延々と内見することになります。次のフローで振り分けてください。各分岐に、不動産仲介にそのまま聞ける質問文を添えています。
ステップ1:奥行を測る(不合格なら即終了)
- 5.5m未満 … 即NG。坪数がいくらあっても打席は入りません
- 5.5〜6.0m … 条件付きOK。連打席前提でスクリーン〜打席を2,700mmに詰める設計になります
- 6.0m以上 … OK。次のステップへ
判定基準はGOLFZON系の寸法を前提にしています。スカイトラック系など、より浅い奥行で成立する機器もあるため、機種を先に決めておくとこの足切り線が動きます。
仲介への質問:柱の内法で、スクリーンを張る壁からその反対側の壁まで何mありますか。図面の壁芯ではなく内法寸法でお願いします。
ステップ2:スラブ〜スラブの実高を測る
- 3.35m未満 … TwovisionNXは不可。GDR・VisionPlus(3,030mm)への機種変更、または天井解体の見積もりへ分岐
- 3.35m以上 … OK。ただし梁下・ダクト下・OAフロア分を控除して再判定
仲介への質問:スラブからスラブまでの階高と、いちばん低い梁の下端までの寸法を教えてください。天井を解体して躯体現しにすることは可能ですか。
ステップ3:間口÷3.3mで打席数を確定する
- 打席数の目安 =(間口 − 4.12m)÷ 3.3m + 1(小数点以下切り捨て)
- 1打席目だけ4.12mが必要な点に注意(GDR・VisionPlusなら3.75m)
- 壁際を2,650mmまで詰める設計なら、京都市の実例のように保守値より小さい間口でも打席数を確保できる場合があります
仲介への質問:間口方向に柱型は出ていますか。出ている場合、柱の出寸法と柱芯の間隔を教えてください。
ステップ4:用途変更部分の床面積が200㎡を超えるか
- 200㎡(60.5坪)以下 … 用途変更の確認申請は不要(適合義務は残ります)
- 200㎡超 … 確認申請ルートへ。検査済証の有無を確認し、建築士に相談。スケジュールは4ヶ月以上を見込む
仲介への質問:この建物に検査済証はありますか。現在の用途は、登記上と確認申請上でそれぞれ何になっていますか。
この4ステップを通過した物件だけを坪数と賃料で比較します。坪数は最後に出てくる結果であって、探索条件ではありません。
60.5坪を超えると何が起きますか?用途変更の確認申請
用途変更する部分の床面積が200㎡(60.5坪)を超えると、建築確認の手続き(確認申請)が必要になります。実例では初回相談から4ヶ月以上かかっています。
ゴルフ練習場は、建築基準法施行規則 別記様式 別紙「建築物の主要用途一覧」(令和元年6月25日改訂版)において、ボウリング場・スケート場・水泳場・バッティング練習場などと同じ「スポーツの練習場」に分類されます。これは法別表第一(四)項の特殊建築物です。
東京都都市整備局の資料(2019年)によると、令和元年6月25日施行の改正建築基準法により、用途変更する部分の床面積が200㎡以下であれば確認申請の手続きは不要になりました(改正前は100㎡超で必要)。ただし手続きが不要になっても、建築基準法への適合義務そのものは残ります。
消防法では用途区分がズレます
建築基準法と消防法で用途の呼び方が違うため、片方だけ確認して安心すると抜けが出ます。
消防法施行令別表第一において、(2)項ロは「遊技場又はダンスホール」で特定防火対象物にあたります。パチンコ店からゴルフシミュレーション練習場へ転用した実例(2024年、北島建築設計事務所)では、次のように整理されました。
- 建築基準法上:遊技場 → スポーツ練習場(用途変更の確認申請が必要。民間確認検査機関へ提出)
- 消防法上:遊技場 → 遊技場(消防法上の用途変更は発生せず)
- 積載荷重:スポーツ練習場150kg/㎡ < 既存300kg/㎡ で成立を確認
- 期間:初回相談から4ヶ月以上
検査済証がない築古ビルは詰みます
確認申請には既存建物の適法性を示す資料が必要です。検査済証がない物件では、法適合状況調査から始めることになり、費用も期間も読めなくなります。賃料の安い築古ビルほどこのリスクが高くなります。
早見表のとおり、6打席=総坪62.5坪は200㎡の境界線をわずかに超えます。5打席52.5坪で止めるか、確認申請を織り込んで4ヶ月以上のスケジュールを組むか。「なんとなく6打席」が、最も危険な規模設定です。
坪数の上限を決めるのは打席の物理寸法ではなく、60.5坪という法規の境界線です。物件の総床面積ではなく「用途変更する部分の床面積」で判定される点も押さえてください。
シミュレーションゴルフの必要スペースは商圏人口から逆算します
必要スペースの上限は、打席が入るかではなく、商圏に会員が何人いるかで決まります。1打席あたりの適正会員数は50名前後、3〜4打席規模なら商圏人口18〜20万人が目安です。
坪数を入力して打席数を出すのではなく、商圏人口を入力して坪数を出す。入力するのは、商圏人口・想定会員単価・物件の間口・奥行・天井高の5つだけです。
逆算の7ステップ
- 商圏人口を出す:徒歩・車で15分圏の人口を自治体統計から拾う
- 練習場利用者数を推計:商圏人口×3.6%(『レジャー白書2025』の2024年ゴルフ練習場参加人口450万人を国内人口で割った概算。本記事の仮置き値です)
- 獲得可能会員数を出す:利用者数×自店シェア(新規参入なら2〜5%で仮置き)
- 上限打席数を出す:獲得可能会員数÷50名(1打席あたりの適正会員数)
- 物件と照合する:必要間口=4.12+3.3×(打席数−1)m、必要奥行6.02mを実測値と突き合わせる
- 必要総坪数を出す:打席エリア坪数÷0.6
- 賃料と法規を判定する:総坪数×家賃坪単価で月額家賃を出し、月商に対する比率が10%を超えたら警告。総坪数が60.5坪を超えたら確認申請フラグ
計算例:地方都市・商圏15万人の場合
| 項目 | 入力・計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 商圏人口 | 15万人 | — |
| 練習場利用者数 | 15万×3.6% | 5,400人 |
| 自店シェア | 5,400×3% | 162名 |
| 上限打席数 | 162÷50 | 3打席 |
| 必要間口/奥行 | 4.12+3.3×2/6.02 | 10.72m/6.02m |
| 打席エリア坪数 | 10.72×6.02 | 19.5坪 |
| 必要総坪数 | 19.5÷0.6 | 32.5坪 |
| 月額家賃(地方8,000円/坪) | 32.5×8,000 | 26万円 |
| 想定月商(会費20,000円) | 162×20,000 | 324万円 |
| 家賃比率 | 26÷324 | 8.0%(適正) |
同じ条件を都市部(家賃12,000円/坪)で計算すると、家賃39万円、家賃比率12.0%で警告ラインを超えます。都市部で3打席を成立させるには、会費を25,000円へ引き上げる(比率9.6%)か、坪数を絞るかの判断が必要です。
出力はこの3行にまとまります。
- あなたの商圏では3打席が上限です
- 必要坪数は約32.5坪(打席エリア19.5坪+共用部13坪)です
- その物件の間口が10.72m未満なら3打席は入りません
無人運営なら受付・スタッフルームが不要になるため、打席エリア比率が上がります。実務値では3打席25〜30坪で収まる例もあります。逆にレッスン主体で待合や物販棚を厚く取るなら、10坪/打席を上回ります。共用部比率40%は、有人・レッスン併設の標準値と考えてください。
施設は増え、母数は縮んでいます
打席数を増やすほど1打席あたりの稼働が薄まる局面に入っています。
- 公益社団法人 全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)の2025年度調査(2026年1月30日現在)では、全国のゴルフ練習場は4,800施設。うちインドアは2,541施設で前回比+1,029、アウトドアは2,259施設で−41でした。ただし2025年度から調査方法を変更したとの注記があり、単純な前年比較はできません
- 同連盟の2023年10月31日時点の調査では、インドア1,518施設のうち関東が933施設(61.5%)、東京都が596施設(39.3%)と首都圏に極端に偏在していました
- 一方、日本生産性本部『レジャー白書2025』によると、2024年のゴルフ練習場参加人口は450万人で、前年510万人から11.8%減。500万人を割り込んでいます
施設は増え、参加人口は減っている。坪数と打席数を増やすことが、そのまま売上増につながらない局面です。
矢野経済研究所の『2025年版ゴルフ産業白書』関連発表(2025年10月)でも、2025年の国内ゴルフ用品市場は前年比105.5%の3,093億5,000万円と予測される一方、2025年以降は「シミュレーションゴルフ機器の目新しさがなくなり、コンセプトやサービス部分で各社の差が出る」との見通しが示されています。
設備投資で差がつかなくなると、差別化の軸はレッスン導線や練習の可視化といったソフト面に移ります。スイング解析やデジタルコーチングのツールは、来店ごとの変化を記録して継続動機をつくる用途では有効です。ただし、置けば上達するというものではなく、効果は指導者の運用と本人の練習量に左右されます。導入の可否は「打席を1つ増やす投資」と同じ土俵で比較してください。
坪数が決まったら出す初期費用と回収ライン
3打席32.5坪の内装費は、居抜きで約488万〜1,463万円、スケルトンで約1,138万〜2,600万円と、仕上げ方で5倍の開きが出ます。
内装の坪単価は仕上げ方で決まります
| 区分 | 坪単価 | 32.5坪(3打席)の場合 |
|---|---|---|
| 居抜き | 15万〜45万円/坪 | 約488万〜1,463万円 |
| スケルトン | 35万〜80万円/坪 | 約1,138万〜2,600万円 |
| 一般的な目安 | 30万〜60万円/坪 | 約975万〜1,950万円 |
*坪単価の出典:インドアゴルフ開業ガイド(okongolf)施工費用。総額は本記事で乗算*
同資料では、約20坪2打席で700万〜1,600万円、6打席スケルトンで約5,000万円という実例も示されています。機器を含めた開業総額は1,000万〜3,000万円が一般的なレンジです。
売上モデルは時間貸しと会費制で組み方が変わります
独立行政法人 中小企業基盤整備機構のJ-Net21 起業ガイド「インドアゴルフ練習場」(2023年)では、次の試算が示されています。
- 時間貸し:1時間5,000円で1打席が1日5時間稼働、年間300日営業 → 1打席の年間売上750万円。6打席で年間4,500万円
- 月額会費制:月額20,000円×会員200名 → 年間4,800万円
- 機器の導入方法:購入以外に、月額レンタル40,000〜70,000円/台+保証金300,000〜500,000円/台という選択肢もある
会費制で年間4,800万円を成立させる会員200名は、1打席50名という適正値でいえば4打席分です。機器を6打席入れても、会員が200名なら5打席目以降は遊びます。
失敗ラインは「居抜きなら客がいる」という前提です
Zuuum Golf元町中華街店(2019年7月開業)は、開業1年間の入会者が78名にとどまり損益分岐点を割りました。居抜き物件で既存顧客がそのまま残ると想定し、販促を行わなかったことが敗因とされています。
78名は、1打席50名という基準でいえば1.5打席分です。打席数と坪数を先に決めてしまうと、この差が固定費として毎月のしかかります。
規模の対極も見ておくと判断しやすくなります。ゴルフパートナーのフランチャイズ(インドアゴルフ練習場タイプ)の加盟条件は200坪以上・10打席以上・天井高3,000mm以上。個人開業の32.5坪/3打席とは、必要商圏も資金も別の土俵です。どちらで戦うのかを先に決めてください。
まとめ:坪数は測ってから出す
インドアゴルフの坪数は、次の4つを測った後に自動的に決まります。
- 奥行6.02m(GOLFZON公式のブース奥行6,020mm)を満たすか
- スラブ間3.35m(天井ボード3,050mm+天井懐300mm)を満たすか
- 間口÷3.3mで何打席入るか
- 用途変更部分が200㎡(60.5坪)を超えないか
そのうえで、打席エリア坪数÷0.6で契約坪数を出し、商圏人口から出した上限打席数と突き合わせる。この順番なら、坪数の目安に振り回されずに物件を絞り込めます。
次にやることは1つです。内見にコンベックスとレーザー距離計を持参し、奥行・梁下・間口の3点を内法で実測する。図面の壁芯寸法だけで判断すると、100〜200mmの差で1打席分を落とします。
打席数の上限は、契約時の間口で固定されます。共用部のレイアウトは後から変更できますが、間口は変えられません。妥協すべきでない順番は、奥行 → 天井高 → 間口 → 共用部です。
よくある質問
インドアゴルフの1打席あたりの広さはどれくらいですか?
打席エリアだけなら約7.5坪(間口4.12m×奥行6.02m)、共用部込みの契約坪数なら約12.5坪です。2打席目以降は間口が3.3mずつ増えるだけなので、増分は約6.0坪/打席に下がります。施工実例の実効値は4.7〜7.8坪/打席(中央値約6坪)、実際に運営している店舗の総坪数では約10坪/打席が目安です。
天井高2.7mの物件でもシミュレーションゴルフは設置できますか?
打席部分の有効高さは2,800〜3,200mmが推奨のため、2.7mでは推奨条件を下回ります。京都市の実例では中央打席の梁下2,700mmをかわす配置で3打席を成立させていますが、これは部屋全体の天井高2,900mmが確保されたうえで梁だけをかわしたケースです。2.7mを全体寸法として計画するのは避け、天井解体で躯体現しにできるかを先に確認してください。
用途変更の確認申請は必ず必要ですか?
用途変更する部分の床面積が200㎡(60.5坪)以下であれば、確認申請の手続きは不要です(令和元年6月25日施行の改正建築基準法)。ただし手続きが不要でも建築基準法への適合義務は残り、消防法上の届出は別途必要になります。200㎡を超える場合は検査済証の有無を確認し、建築士へ早期に相談してください。実例では初回相談から4ヶ月以上を要しています。
居抜きとスケルトン、坪数の観点ではどちらが有利ですか?
坪単価では居抜きが有利(15万〜45万円/坪)ですが、奥行や天井高が条件を外していると改修費で逆転します。居抜きは前テナントの用途によって天井や床の下地が残っており、天井懐300mmを確保するために結局解体するケースがあります。坪単価の安さよりも、奥行6.02mとスラブ間3.35mを素の状態で満たしているかを優先してください。
3打席と6打席、どちらの規模で始めるべきですか?
商圏人口が18〜20万人に届かないなら、3〜4打席が現実的です。6打席は共用部込みで約62.5坪となり、200㎡(60.5坪)の用途変更確認申請ゾーンに入ります。1打席あたり50名で計算すると、6打席は300名の会員が必要です。確認申請の期間(4ヶ月以上)と会員獲得計画の両方に確信が持てない限り、5打席以下で立ち上げ、間口に余裕のある物件を選んで将来の打席追加余地を残す設計が無難です。
本記事の寸法はGOLFZON『設置推奨寸法』2025.02.06版、施設数はJGRAの2025年度調査(2026年1月30日現在)、参加人口は『レジャー白書2025』に基づきます。メーカーの推奨寸法は機種更新のたびに変わるため、契約前に必ず最新版の資料で再確認してください。
