シミュレーションゴルフ 飛距離 出すぎ|ラウンド前に潰す5つの原因
シミュレーションゴルフで飛距離が出すぎると感じる原因のほとんどは、機械が盛っているのではなく、比べていた屋外レンジが出なさすぎたことにあります。
ゴルフダイジェスト「レッスンの本オンライン」(2023年)の室内実測では、同じヘッドスピードに揃えたドライバーで、1ピースの練習球のキャリーが209.3yd、コースボールが228.2yd。その差は18.9ydでした。屋外レンジは1ピース球が主流、インドア施設はコースボールを置く店も少なくありません。ボールが違えば、同じスイングでも表示は1番手以上ズレます。
ギャップの正体は、次の5つに分解できます。
- ボール差(練習球かコースボールか)
- マット差(人工芝は打点が上がりスピンが減る)
- トータル飛距離が実測ではなく「推定値」であること
- 施設側の正規化(ボール補正)設定
- 気温25℃・標高0m・無風という初期設定
この5つを1つずつ潰せば、インドアで出た数字はそのままコースの番手選びに使えます。以下では、原因を1つに特定するフローチャート、番手別の換算表、機種別に「どこまで実測でどこから計算か」を整理した早見表まで載せます。
シミュレーションゴルフの飛距離が出すぎるのはなぜ?原因は5つに分解できます
インドアの飛距離が出すぎる原因は、ボール差・マット差・トータルの推定値・施設の補正設定・気温設定の5つに分解できます。機器の故障や精度不足はほとんど関係ありません。
まず全体像です。下の表は、それぞれの要因がドライバーのキャリーで何ヤード分の差を生むかを、出典とセットで並べたものです。
| # | 要因 | 何が起きているか | 目安の大きさ(ドライバー) | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ボール差 | 練習球はスピンが多く初速が遅い | キャリーで約18.9yd | ゴルフダイジェスト(2023年)室内実測 |
| 2 | マット差 | 人工芝はクラブが地面に食い込まず打点が上がる | キャリーで約5〜6yd | Arccos Golf(2023年) |
| 3 | トータルの推定 | ランは「平らな地面・通常の硬度」を仮定した計算値 | 芝と季節で数yd〜十数yd | TrackMan公式用語集 |
| 4 | 施設の補正設定 | 正規化(ボール補正)で全ショットに一律%を上乗せ | 一律10%前後との報告あり | 施設への直接確認が必要 |
| 5 | 気温・標高設定 | 初期値は気温25℃・標高0m・無風 | 夏冬で5〜20yd | TrackMan公式ブログ(2024年)/日本気象協会(2022年) |
注目すべきは1と2です。合計すると約24yd。「インドアだと1番手以上飛ぶ」という体感の大半は、スイングの調子ではなくこの2つで説明がつきます。
なお一季出版「ゴルフ特信」によると、インドアゴルフ施設は2023年時点で1,518施設と、2019年から約473施設増えました。施設が増えたぶん、ボールや設定の運用も店ごとにバラバラになっています。「どの店で測ったか」を無視して数字だけ比べても意味がない、というのが前提です。
「シミュレーターが出すぎている」のではなく「比較相手の屋外レンジが出なさすぎた」と考えると、数字のつじつまが合います。まずは自分が比べている2つの数字が、同じボール・同じ地面で出たものかを確認してください。
あなたのケースはどれ?出すぎる原因を1つに絞るフローチャート
自分のケースは、出すぎるのが全番手かドライバーだけかを起点に、5つの質問で1つに特定できます。原因の列挙で終わらせず、自分に当てはまる1本のルートまで絞るのがこの章の目的です。
Q1〜Q5で進む原因特定フロー
上から順に答えていくだけで、該当ルートにたどり着きます。
Q1. 出すぎるのは全番手ですか、ドライバーだけですか?
- ドライバーだけ → ルートA:ティーアップとアッパー軌道へ
- 全番手 → Q2へ
Q2. 差が出ているのはトータルだけですか、キャリーもですか?
- トータルだけ → ルートB:トータルは推定値へ
- キャリーも違う → Q3へ
Q3. 比較相手は「コースでの実測」ですか、「屋外レンジの表示」ですか?
- 屋外レンジの表示 → ルートC:ボール差へ
- コースの実測 → Q4へ
Q4. その店はコースボールですか、練習球ですか。正規化(ボール補正)は入っていますか?
- コースボール+正規化ON → ルートD:二重補正へ
- どちらも不明 → 次項の「受付で聞く5つの質問」で確認
- 補正なし・コースボール → Q5へ
Q5. シミュレーターの気温設定は何℃で、ラウンド予定日は何℃ですか?
- 設定25℃・ラウンドは10℃前後 → ルートE:気象条件の前提差へ
- 気温差が小さい → 残るのはマット差(約5〜6yd)です
ルートと本文の対応表
| ルート | 主な原因 | 詳しい解説 |
|---|---|---|
| A | マットからのティーアップでスピンが減る | 「インドアの飛距離がコースと違うのはマットのせい?」 |
| B | トータルは平面・通常硬度を仮定した計算値 | 「トータル飛距離は実測ではありません」 |
| C | 練習球とコースボールのボール差 | 「レンジボールとコースボールの飛距離差」 |
| D | 施設の正規化と自分の補正が二重にかかる | 「トップトレーサーなど施設の飛距離補正」 |
| E | 気温25℃・標高0m・無風という初期設定 | 「インドアの数字は夏のコースの数字です」 |
受付で聞く5つの質問
原因特定の精度は、施設に確認するだけで一気に上がります。次回の来店時、この5つをそのまま聞いてください。
- 使っているボールはコースボールですか、練習球ですか(練習球なら1ピースか2ピースか)
- 飛距離の正規化(ボール補正)は入っていますか。入っている場合は何%ですか
- 気温と標高の設定値はいくつですか
- 画面に出ているのはキャリーですか、トータルですか。切り替えはできますか
- スピン量は実測ですか、ボール初速などからの推定値ですか
スタッフが即答できない項目もあります。その場合は「わからない=補正が入っている可能性がある」と扱い、後述の換算では補正係数を1.00に固定してください。分からないまま自分でも補正をかけると、二重に引き算してしまいます。
レンジボールとコースボールで飛距離の差はどれくらい?実測は18.9yd
レンジボールとコースボールの飛距離差は、ドライバーのキャリーで約18.9yd、トータルで約20.7ydです。上位記事の多くが「ボールでも変わります」で止めているので、ここは実数値で押さえます。
室内実測データで見る3種類のボール
ゴルフダイジェスト「レッスンの本オンライン」(2023年)が、スカイトラックを使い同一ヘッドスピードのドライバーで計測した結果が次の表です。
| 計測項目 | 1ピース練習球 | 2ピース練習球 | コースボール |
|---|---|---|---|
| キャリー | 209.3yd | 211.0yd | 228.2yd |
| トータル | 224.4yd | 228.7yd | 245.1yd |
| ボール初速 | 58.7m/s | 60.3m/s | 62.6m/s |
| 打ち出し角 | 13.0度 | 13.2度 | 14.4度 |
| バックスピン | 3,138rpm | 2,307rpm | 2,298rpm |
読み取れるのは3点です。
- 1ピース球はスピンが840rpmも多く、初速が3.9m/s遅い。吹け上がって初速も出ないので、二重に飛びません。
- 2ピース球はスピンこそコースボール並み(2,307rpm対2,298rpm)ですが、初速が足りずキャリーは17.2yd短いままです。
- スピン量は飛距離に直結します。HONMA GOLFの解説では、スピン量が1,000rpm違うと飛距離は10yd以上変わるとされています。
ゴルフサプリの打ち比べ検証でも、ハンディキャップ+1のトップアマのドライバーでコース球269yd/2ピース練習球258yd/1ピース練習球241yd。編集部員では252/249/216ydと、最大28ydの差がついています。
番手が短くなるほど差は縮む
ボール差は全番手に一律ではなく、番手が短くなるほど小さくなります。ここが後述する「一律%補正」の落とし穴になります。
| 番手 | 練習球とコースボールの差の目安 |
|---|---|
| ドライバー | 20〜25yd |
| ミドルアイアン(5I〜7I) | 8〜10yd(約1番手) |
| ウェッジ | 3〜5yd |
※この番手別の整理値は個人の検証ブログ(19th Lab)によるもので、メーカー公式の数値ではありません。目安として使い、最終的にはご自身の計測で確かめてください。
屋外レンジで220yd、インドアで240ydと出たとしても、それはスイングが変わったのではなくボールが変わっただけの可能性が高いです。コースで使う番手は、コースボールで測った数字を基準にします。
「トータル飛距離」は実測ではありません|番手選びはキャリーを使います
トータル飛距離は実測ではなく、平らな地面と通常の硬さを仮定した計算値です。番手選びにはキャリーを使ってください。
TrackMan公式が明記している「仮定」
TrackMan(トラックマン用語集)によると、合計距離の算出には「平らな表面(地面)と『通常の』硬度が想定されます」と明記されています。サイドトータルも「バウンスとロールを加算または減算したもの」と定義されています。
つまりシミュレーターの画面上で、キャリーは高精度な計測値、トータルは仮定を置いた推定値という性質の違いがあります。同じ画面に並んでいても、信頼度は同じではありません。
現実のコースは「平らで通常の硬さ」ではない
実際のフェアウェイは、次のように仮定から外れます。
- 冬の湿った和芝:ランがほとんど出ず、トータルはキャリー+数ydにとどまることがある
- 真夏の乾いた高麗芝:ランが大きく伸びる
- 打ち下ろし・打ち上げ:着地角と傾斜でランが大きく変わる
- 雨上がり:着弾点で止まる
この振れ幅を1つの数字で表すのは無理があります。だからトータルは「参考値」に格下げし、番手決めはキャリーで行うのが実務的です。
実務での使い分け手順
- インドアでは番手ごとのキャリーだけを記録する
- コースでは「残り距離−想定ラン」でキャリー目標を決める
- ランはラウンド当日の季節・芝・水分で自分で足す(真夏の高麗/冬の洋芝/雨後で別テーブルにする)
- 池やバンカーの手前は、ランを0ydとみなしてキャリーだけで判断する
「インドアで245yd出たからこのホールは届く」という判断が一番危険です。その245ydは平らで通常の硬さの地面を仮定した数字で、冬の湿ったフェアウェイでは20yd以上足りないことがあります。
インドアゴルフの飛距離がコースと違うのはマットのせい?約5〜6yd伸びます
インドアの飛距離がコースと違う一因はマットです。人工芝は打点が上がりスピンが減るため、キャリーが約5〜6yd伸びます。
人工芝がスピンを減らす仕組み
Arccos Golf(2023年)の解説によると、屋内は人工芝マットのためクラブが地面に食い込まず、フェースの上めでヒットしやすくなります。その結果、打ち出し角が高くスピンが低い弾道になり、屋内のキャリーは屋外より約5〜6yd長く出ます。
前章のとおりスピンが1,000rpm減ると飛距離は10yd以上変わるため、マット由来のわずかなスピン減がそのままキャリー増として表示されるわけです。
同時に起きる「ミスが見えない」問題
マットのもう一つの影響は、飛距離ではなく精度側に出ます。
- ダフってもソールが滑るため、手前を叩いても弾道がそれなりに出る
- 芝から打つと出るはずの「ターフが取れない」「ボールが上がらない」という失敗が数字に現れない
- 結果として、飛距離は良く、打点ミスは隠れる
この2つはセットで起きます。「出すぎ」だけを気にして「ミスが見えない」を放置すると、コースでのダフリ・トップの再現率が下がります。
打点ミスを可視化する方法
数値だけでは打点は分かりません。練習場でできる現実的な手段は次の3つです。
- フェースにショットマーカー(打点シール)やフットスプレーを使い、打点位置を毎回確認する
- マットの手前にティーやタオルを置き、入射が浅すぎないかを物理的にチェックする
- スイングを動画で撮り、体の動きと打点のズレを合わせて見る
最近はスマートフォンの動画からスイングを自動解析し、お手本との差を可視化するデジタルコーチングのサービスも増えています。こうしたツールは打点や体の動きの再現性を見るのに向く一方、ボールの実際の弾道を測るものではない点は理解しておきましょう。飛距離の数値はシミュレーター、動きの確認は解析、と役割を分けるのが実務的です。
出すぎるのがドライバーだけなら、マットの上にティーアップして打つぶんアッパー軌道になり、さらにスピンが減っている可能性があります(フローのルートA)。アイアンとドライバーで「出すぎ幅」が違うかを一度確認してください。
トップトレーサーなど施設側の飛距離補正はどう確認する?
施設側の正規化(ボール補正)は受付で確認できます。全ショットに一律%を上乗せする設定があり、入っているかどうかで表示が10%前後変わるためです。
正規化(ボール補正)とは何か
正規化とは、練習球や気象条件の影響を打ち消し、「基準となる条件で打ったらどうなるか」に換算して表示する機能です。TrackMan(トラックマンゴルフブログ、2024年)によると、正規化機能の初期設定はボールタイプ:プレミアム/標高:0m/気温:25℃。非プレミアムボールを使う場合は、ボール変換機能でプレミアム球相当に変換してから正規化を適用する仕組みです。
Toptracer Rangeにも同様のボール補正があり、全ショットに一律で概ね10%前後を上乗せする方式だと報告されています。ただしこの数値は海外のユーザーコミュニティや個人検証ブログの記述で、メーカー公式の公表値ではありません。適用の有無も%も練習場ごとの判断なので、必ず施設に確認してください。
一律%補正が生む「番手ごとのズレ」
ここが上位記事に抜けている論点です。ボール差は番手ごとに縮むのに、正規化は一律%で加算されます。仮に一律10%だとすると、次のようなズレが起きます。
| 番手 | 実際のボール差 | 一律10%補正の加算量 | 結果 |
|---|---|---|---|
| ドライバー(220yd) | 約20〜25yd | 約22yd | おおむね妥当 |
| 7番アイアン(150yd) | 約8〜10yd | 約15yd | 5〜7yd過剰=出すぎ |
| PW(110yd) | 約3〜5yd | 約11yd | 6〜8yd過剰=出すぎ |
つまり正規化ONの施設では、短い番手ほど「出すぎ」が起きやすいという構造的な偏りがあります。「ドライバーは合うのにウェッジだけ妙に飛ぶ」という感覚は、この一律%が原因である可能性が高いです。
二重補正に注意
コースボールを置いている店で正規化がONだと、補正が二重にかかります。さらに読者側で「練習球ぶん割り引こう」と引き算すると、今度は逆方向に外れます。
- コースボール+正規化OFF → 補正なしでそのまま使える(理想)
- コースボール+正規化ON → 表示は上振れ。自分では追加補正しない
- 練習球+正規化ON → 意図どおり。自分では追加補正しない
- 練習球+正規化OFF → 番手別のボール係数で自分が補正する
補正設定は施設が変更できる運用項目です。同じチェーンでも店舗によって違う、機器のソフト更新で変わることもあります。TrackMan株式会社は2025年1月に天井設置型の「Trackman iO Indoor Range」を日本限定で発売しており(PR TIMES、2025年1月6日)、機種の入れ替えが進むと同じ店でも表示の傾向が変わりうる点は頭に入れておきましょう。
インドアの数字は「気温25℃・標高0m・無風」のコースの数字です
インドアの表示は気温25℃・標高0m・無風を前提にした数字です。冬のラウンドとは前提が違い、実際は5〜20yd落ちます。
前述のとおり、TrackMan(2024年)の正規化初期設定は気温25℃・標高0m。これは「真夏の海沿いコースで無風」という条件に近い設定です。
一方、日本気象協会 tenki.jp(2022年)のゴルフコラムによると、夏より冬のほうが飛距離が5〜20yd落ちるケースが多く、要因は次の2つです。
- 気温が下がると空気密度が上がり、ボールが空気抵抗を受けやすくなる
- ゴム製のボールが冷えて硬くなる
つまり冬に「インドアの数字が出ない」のは腕の問題ではなく、前提条件の問題である可能性が高いのです。ここを切り分けずにスイングをいじると、春先に別のズレが生まれます。
実務的には、次のように扱います。
- 冬のラウンド前は、インドアの数字から気温ぶんを差し引いてから番手を選ぶ
- 厚着による可動域の制限は別要因として扱う(これは数値補正ではなく、体を動かして解消する)
- 春〜秋にインドアの数字とコースの実測が合っていたなら、冬のズレは季節要因と判断する
気温補正の目安として、本記事では「25℃を基準に、差3.6℃ごとにドライバーで−1yd」という簡易ルールを使います。25℃→10℃なら約−4ydです。これは公表された公式係数ではなく、上記の夏冬5〜20ydというレンジに収まるよう置いた近似値です。
ゴルフシミュレーターの飛距離誤差はどこから生まれる?機種別「実測と計算」早見表
ゴルフシミュレーターの飛距離誤差は、機種の計測方式によって向きが変わります。まずどの項目が実測で、どこから先が計算かを知るのが先です。
計測方式は大きく3系統です。
- レーダー式(ドップラー):飛んでいくボールを電波で追う。広い場所が得意
- 光学式(高速カメラ):インパクト直後をカメラで撮る。狭い場所が得意
- 複合型:レーダーと赤外線イメージングなどを組み合わせる
下の表は、主要機種で「施設側が変えられる設定」と「ありがちな癖」を整理したものです。
| 機種 | 計測方式 | スピン量 | ヘッドスピード | 施設側が変えられる設定 | ありがちな癖と確認方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| TrackMan(iO Indoor Range含む) | ドップラーレーダー/iOはOERT(レーダー+高速赤外線イメージング) | 計測項目として公表 | 計測項目として公表 | 正規化(ボールタイプ・標高・気温) | 正規化ONだと短い番手が上振れしやすい。設定画面の気温・標高を見せてもらう |
| GOLFZON(QED・GDR) | 公式非公表(本記事では確認できず) | 公式非公表 | 公式非公表 | コース難易度・グリーン硬さ等 | 「実測より短く出る」という利用者の声がある(伝聞)。他機種と同日に打ち比べて差を把握する |
| Toptracer Range | カメラによるボール追跡 | 公式非公表 | 公式非公表 | ボール補正(正規化)の有無・値 | 一律%加算との報告あり。受付で「補正は何%か」を聞く |
| SkyTrak | 光学式(高速カメラ) | 公式非公表 | ボールデータからの算出 | 気象条件・ボール設定 | ヘッドスピードが辛めに出やすい。ボール初速とミート率の整合で確認する |
| Foresight GCQuad系 | 光学式(高速カメラ) | 公式非公表 | 公式非公表 | 気象条件・ボール設定 | クラブ計測の有無で表示項目が変わる。何を測っているか確認する |
| Garmin Approach R10 | 携帯型レーダー | 公式非公表 | 公式非公表 | 環境設定・ボール設定 | 設置距離と向きで数値が変わる。置き方が毎回同じか確認する |
※各セルはメーカーの公表情報を優先し、公式に確認できなかった項目は「公式非公表」と記載しています。機種やソフトのバージョンで仕様は変わるため、最終的には施設スタッフへの確認が確実です。「公式非公表」の項目が多いこと自体が、表示された数値を無条件に信じるべきではない根拠でもあります。
なお、トータル飛距離が仮定込みの計算値である点は、方式を問わず共通です。参考までにTrackMan株式会社のプレスリリース(2025年1月6日)では、Trackman iO Indoor Rangeの計測項目としてボールスピード、ミート率、打出角、左右打出角、スピン量、スピン軸、クラブスピード、カーブ、高さ、キャリー、トータル、サイド、サイドトータル、着地角が挙げられています。キャリーとトータルが並んでいても、性質は別物です。
機種ごとにバイアスの向きは逆になります。「シミュレーターは飛距離が出すぎる」と一括りにせず、自分が通う店の機種が、どちらに寄る癖を持つかを把握するほうが実用的です。
シミュレーションゴルフの飛距離を正確に使う換算ワークシート
インドアの飛距離を正確に使うには、キャリーを起点にボール・マット・気温の3補正をかけ、番手別の実効距離表を作ります。所要時間は15分ほどです。
入力する5項目
- インドアで計測したキャリー(番手別・5球以上の平均)
- 打っているボール種別(コースボール/2ピース練習球/1ピース練習球)
- 施設の正規化設定(なし/約10%/不明)
- シミュレーターの気温設定(初期値なら25℃)
- ラウンド予定日の想定気温
計算手順(A〜E)
- (A)起点はキャリー:トータルは使いません。TrackMan公式が「平らな表面と通常の硬度が想定される」と明記している推定値だからです。
- (B)ボール補正:下の係数表を使います。正規化がONまたは不明の施設では、二重補正を避けるため係数を1.00に固定します。
- (C)マット補正:キャリーから−5yd。Arccos(2023年)のマット起因+5〜6ydを差し戻す処理です。
- (D)気温補正:25℃を基準に、差3.6℃ごとにドライバーで−1yd。短い番手はキャリー比で按分します(150ydの7Iならドライバーの約7割)。
- (E)ラン加算:季節・芝別に別テーブルで手入力。真夏の高麗フェアウェイ/冬の洋芝/雨後で分けます。
ボール補正係数(インドアで練習球を打っている場合)
| 番手 | 1ピース練習球 | 2ピース練習球 | コースボール |
|---|---|---|---|
| ドライバー | ×1.09 | ×1.04〜1.08 | ×1.00 |
| 5I〜7I | ×1.04〜1.06 | ×1.02 | ×1.00 |
| PW・ウェッジ | ×1.02 | ×1.01 | ×1.00 |
※ドライバーの1.09は、ゴルフダイジェスト(2023年)の209.3yd→228.2yd(+9.0%)から算出しています。2ピース球は同調査で+8.2%、ゴルフサプリの検証では+4.3%と開きがあるため幅で示しました。
完成イメージ:番手別コース実効キャリー表
条件は「コースボール・正規化なし・気温設定25℃・ラウンド想定12℃(気温差13℃)」の場合です。
| 番手 | ①インドア表示キャリー | ②ボール係数 | ③マット補正 | ④気温補正 | ⑤コース実効キャリー |
|---|---|---|---|---|---|
| ドライバー | 220yd | ×1.00 | −5yd | −4yd | 211yd |
| 3W | 195yd | ×1.00 | −5yd | −3yd | 187yd |
| 5I | 170yd | ×1.00 | −5yd | −3yd | 162yd |
| 7I | 150yd | ×1.00 | −5yd | −2yd | 143yd |
| 9I | 130yd | ×1.00 | −5yd | −2yd | 123yd |
| PW | 115yd | ×1.00 | −5yd | −2yd | 108yd |
この⑤の列が、そのまま「何ヤード残ったら何番か」の距離階段になります。表計算ソフトに①〜④の式を入れておけば、気温を書き換えるだけで冬用・夏用が切り替わります。
重要なのはインドアの数字を捨てないことです。補正すれば十分使えます。捨ててしまうと、風も傾斜もない条件で測った貴重な基準値を失うことになります。
まとめ|5つを潰せばインドアの数字はコースで使えます
シミュレーションゴルフの飛距離が出すぎる原因は、次の5つに分解できます。
- ボール差:1ピース練習球とコースボールでキャリー約18.9yd差(ゴルフダイジェスト2023年)
- マット差:人工芝で打点が上がりスピンが減り、キャリー約5〜6yd増(Arccos 2023年)
- トータルの推定:TrackMan公式が「平らな地面・通常の硬度」を仮定と明記
- 施設の補正設定:正規化は一律%加算のため、短い番手ほど過剰になりやすい
- 気象条件の前提:初期設定は気温25℃・標高0m・無風。冬は5〜20yd落ちる
次回の来店時にやることは2つだけです。受付で5つの質問をして設定を確認すること、そして番手別キャリーを5球平均で記録することです。この2つが揃えば、換算表は15分で作れます。
飛距離の伸び方には個人差があり、ここで示した係数も条件を限定した目安です。まずは自分の環境で1ラウンド分を検証し、ズレた分を係数に反映していってください。
よくある質問
Q. シミュレーションゴルフの飛距離は正確ですか?
キャリーは高精度ですが、トータルは推定値なので正確さの質が違います。TrackMan公式用語集は、合計距離の算出に「平らな表面(地面)と『通常の』硬度が想定されます」と明記しています。番手選びはキャリーを基準にし、ランは当日の芝と季節で自分で足すのが現実的です。
Q. ゴルフシミュレーターの飛距離誤差は何ヤードくらいが普通ですか?
「機器の誤差」と「条件の差」を分けて考える必要があります。本記事で扱った条件差だけでも、ボールで約19yd、マットで約5yd、気温で5〜20yd生じます。合計すると1番手以上になるため、まず条件差を潰してから機器の誤差を疑うのが順番です。
Q. レンジボールとコースボールの飛距離差は何ヤードですか?
ドライバーでキャリー約18.9yd、トータル約20.7ydです(ゴルフダイジェスト2023年、同一ヘッドスピードの室内実測)。番手が短くなるほど差は縮み、ミドルアイアンで8〜10yd、ウェッジで3〜5ydが目安とされます(個人検証ブログによる整理値)。
Q. トップトレーサーの飛距離補正はオフにできますか?
適用の有無と値は練習場側の設定なので、利用者が自分で切り替えることは基本的にできません。全ショットに一律で概ね10%前後を上乗せする方式との報告がありますが、これはメーカー公式の公表値ではないため、受付で「補正は入っているか、何%か」を直接確認してください。
Q. 冬にインドアの数字が出なくなるのは腕が落ちたからですか?
多くの場合は前提条件の違いです。シミュレーターの正規化初期設定は気温25℃・標高0m・無風(TrackMan公式ブログ2024年)で、日本気象協会(2022年)によると冬は夏より5〜20yd落ちます。スイングを変える前に、気温設定とラウンド当日の気温差を確認してください。
